佐賀県の日本茶産地ガイド|嬉野茶・唐津茶・七山茶の特徴と歴史
佐賀県は、日本茶の歴史において重要な位置を占める産地のひとつです。鎌倉時代に茶の種が持ち込まれたとされる脊振山周辺から始まり、室町時代には釜炒り茶の製法が伝わったとされる嬉野を中心に、独自の茶文化が育まれてきました。現在も嬉野茶・唐津茶・七山茶など、個性の異なる産地が点在しています。このコラムでは、佐賀県の主要な茶産地とそれぞれの特徴を、産地の歴史や自然環境とあわせてご紹介します。
佐賀県の茶産地の概要
佐賀県の生葉収穫量は約6,010トン、荒茶生産量は約1,350トンとされています。主な産地は嬉野市・唐津市などで、厳木の作礼茶など他産地のお茶も、ブランド力の高い嬉野茶として出荷されているケースがあります。
佐賀県における茶の栽培の起源は古く、鎌倉時代初期に宋より帰国した栄西が、佐賀県と福岡県の県境に連なる脊振山に、宋から持ち帰った茶の種を蒔いたことが始まりとされています。これが日本で最初の茶樹栽培ともいわれています。その後、明の陶工が焼き物文化とともに南京釜を持ち込み、釜炒り茶の製法を伝授したことが、嬉野茶の始まりとされています。
現在の嬉野茶の生産量の多くは玉緑茶(たまりょくちゃ)で、そのほとんどが蒸し製玉緑茶となっています。
佐賀県の主な茶産地と特徴
嬉野茶(うれしのちゃ)
嬉野は「釜炒り茶」発祥の地とされています。佐賀県南西部の嬉野市から長崎県東彼杵町にかけての地域で生産される日本茶で、室町時代頃から生産が始まったとされています。
釜炒りによって加熱し発酵を止める釜炒り茶でも知られていますが、現在は蒸すことで加熱する蒸し製玉緑茶が主流です。中国の緑茶に製法が近く、茶葉は丸みを帯びた形状が特徴で、その見た目からグリ茶(玉緑茶)とも呼ばれています。香りが強く、独特の風味を持つお茶です。
嬉野茶が育まれた自然環境と製法
嬉野茶が高い評価を受けてきた背景には、恵まれた自然環境と地域に根付いた製茶技術があります。嬉野市周辺は山々に囲まれた盆地地形で、昼夜の寒暖差が生じやすく、朝夕には霧が立ち込めることが多い地域です。このような気候条件は、茶葉の生育をゆっくりと進め、旨味成分を蓄えやすい環境をつくるとされています。
土壌は水はけがよく、根が健全に育ちやすい点も特長のひとつです。製法面では、古くから釜炒りによる加熱が行われてきた歴史があり、中国から伝わった技術が地域に定着したとされています。現在は蒸し製玉緑茶が主流ですが、釜炒り茶も一部で継承されており、嬉野茶特有の丸みを帯びた茶葉形状と香りの良さを今に伝えています。
唐津茶(からつちゃ)
唐津茶は、県内では嬉野に次ぐ規模を持つ産地です。旧北波多村を中心に、栽培面積は100ヘクタールに及びます。玉緑茶・緑茶が主体で、日常飲用向けのお茶として親しまれてきました。近年ではペットボトル茶など加工用途にも対応しています。
七山茶(ななやまちゃ)
七山茶は、福岡県と佐賀県の境界に位置する唐津市七山地区で生産されるお茶です。からつ茶とは区別されています。冷涼な気候と清らかな水に恵まれた山間地で育つため、渋みが出にくく、すっきりとした味わいの茶が育ちやすい傾向があります。缶入り茶「のまなくっ茶!!」も販売されています。
※上記の佐賀県産のお茶は、新緑園ではお取り扱いがございません。あくまでも産地のご紹介となります。悪しからずご了承ください。
佐賀県内産地の多様性
佐賀県の茶産地は嬉野だけではなく、県内各地に特色ある産地が点在しています。同じ県内であっても、地形や標高の違いによって茶の個性が分かれる点は、佐賀茶の大きな魅力といえます。
- 嬉野茶:盆地地形と霧、昼夜の寒暖差が育む玉緑茶・釜炒り茶の産地
- 唐津茶:県内第2位の産地規模。玉緑茶・煎茶を中心に生産
- 七山茶:山間地の冷涼な気候が生む、すっきりとした味わいのお茶
現代の佐賀茶とブランドとしての取り組み
現在の佐賀県では、嬉野茶を中心としたブランド戦略のもと、産地全体の価値向上が図られています。玉緑茶を主力としながらも、釜炒り茶といった伝統製法の再評価が進み、希少性や物語性を伝える取り組みも見られます。また、家庭用だけではなく業務用・加工用原料としての需要にも対応し、時代に合わせた生産体制が整えられてきました。
高齢化や後継者不足といった課題を抱えながらも、技術継承やブランド統一による発信を続けることで、佐賀茶は今も産地としての存在感を保っています。産地の背景を知ったうえで味わうことで、一杯のお茶に込められた土地の歴史や人の営みを、より深く感じ取ることができるでしょう。
日本茶の産地を知ったら、お茶を淹れてみませんか
佐賀県の茶産地について知ると、日本茶そのものへの興味がさらに深まります。産地ごとに異なる製法や風味の違いを、実際に飲み比べてみるのもひとつの楽しみ方です。新緑園では、日本茶の魅力を日常の中で感じていただけるよう、さまざまなお茶や茶器をご用意しています。
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記事監修
日本茶専門店 新緑園 代表取締役 茶匠 黒木信吾 (茶審査技術 九段 / 全国茶品評会 農林水産大臣賞 4度受賞)
宮崎県新富町にて昭和30年創業の新緑園代表。全国茶審査技術競技大会で全国でも数少ない「九段」を取得。
- 全国茶品評会 農林水産大臣賞 4度受賞
- 国内外コンテストで多数受賞
- 日本茶普及活動にも従事
佐賀県は鎌倉時代に茶の種が持ち込まれたとされる歴史ある産地です。釜炒り茶発祥の地・嬉野を中心に、玉緑茶(グリ茶)が主力として生産されています。唐津茶・七山茶など個性の異なる産地も点在し、地形や気候の違いが茶の風味に影響を与えています。産地の歴史と製法を知ることで、日本茶の奥深さをより身近に感じることができます。
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