【日本茶コラム】和歌山県

 
生葉収穫量71トン、荒茶生産量15トン。古くから茶粥などの食習慣があったため、自家消費用に零細規模の茶栽培が至る所で見られた。以下の産地が知られ、観光地などと結びつき宣伝、販売促進を行っているため、小規模ながら一定の知名度を持つ。
 

 
色川茶(いろかわちゃ)(那智勝浦町)
那智勝浦町の山間部、色川地区で生産される茶で、県内で最も栽培面積が広い。昼夜の寒暖差や朝夕霧のかかる気候により良質な茶葉が生産される。本州一の早摘み茶として知られることで、一番茶は人気が高く、県外にも出荷されている。那智山や勝浦市街近辺の観光地で販売されており、また熊野紅茶として販売している。
 
川添茶(かわぞえちゃ)(白浜町)
旧日置川町、日置川上流の盆地、市鹿野(いちかの)地区で栽培されるお茶。頻繁に発生する霧により日照時間が短いこと、昼夜の気温差により品質の高いお茶が生産される。
田辺藩の奨励を受け、紀州徳川家にも献上された歴史を持つ。元は手揉みだったが、品質向上のために機械化し、静岡茶の技術を採り入れた。日置川町が白浜町と合併し、白浜市街で販売されることも多くなった。ロールケーキなどの洋菓子の材料に使用されたり、白浜紅茶として販売されている。
 
音無茶(おとなしちゃ)(田辺市本宮地区)
旧本宮町の音無川流域、伏拝(ふしおがみ)地区で生産される山間茶で栽培品種は『やぶきた種』。熊野本宮大社のそばを流れる音無川にちなんで命名された。濃い黄金色ですっきりした味わいが特徴です。5〜6月に摘採される一番茶のみを呼ぶブランド茶として販売しているが、流通量は極めて少ない。(だが熊野本宮大社の参道などで販売促進されているため、入手は容易い)。二番茶以降は専ら茶粥用に消費されている。消費促進と産地PRのために、ペットボトル緑茶としても販売している。熊野本宮大社で毎年新茶祭が行われている。

※上記は新緑園ではお取り扱いがございません。
 あくまでも産地のご紹介となります。
 悪しからずご了承ください。

 

紀州和歌山に根付く茶粥の習慣と零細栽培の背景

和歌山県における茶の歴史を語る上で欠かせないのが、古くからこの地に深く根付いている「茶粥(ちゃがゆ)」という独特の食習慣です。県内の至る所でお茶が栽培されてきた背景には、日々の食卓で消費される分を自給自足するという、地域の人々の暮らしぶりが深く関係しています。大規模な産地こそ少ないものの、生葉収穫量71トン、荒茶生産量15トンという数字以上の文化的価値を今に伝えてきました。

山間部の急峻な地形を活かした茶園は、地域ごとの景観の一部として大切に守られています。自家消費が中心であったことから小規模な農家が多いのも特徴ですが、だからこそ産地ごとの個性が際立っているとも言えるでしょう。現在では、これらの産地が観光地と密接に結びつくことで、和歌山ならではの日本茶の魅力を広く発信する取り組みが積極的に行われています。

寒暖差と霧が育む色川茶と川添茶の香り高き品質

那智勝浦町で生産される「色川茶」は、県内で最も広い栽培面積を持ち、本州で最も早く新茶を摘み取る「早摘み茶」の産地として知られています。山間部特有の昼夜の激しい寒暖差に加え、朝夕に霧が立ち込めるという気候条件が、茶葉に良質な香りと旨みを蓄えさせてきました。この一番茶は県外でも人気が高く、最近では「熊野紅茶」というブランドでも新たな注目を集めています。

一方、白浜町の「川添茶」もまた、日置川上流の霧深い環境を活かして高品質な茶葉を育ててきました。かつて田辺藩の奨励を受け、紀州徳川家に献上された歴史を持ち、静岡の製茶技術を取り入れることで品質の安定化を図っています。近年ではロールケーキなどの洋菓子にも活用されており、白浜周辺の観光スポットでも広く販売されるようになりました。伝統的な日本茶の枠を超え、多様な楽しみ方が広がっている点も和歌山産茶の興味深い特徴です。

聖地・熊野の歴史を刻む音無茶と新茶祭の伝統

田辺市本宮地区で栽培される「音無茶」は、世界遺産・熊野本宮大社のすぐそばを流れる音無川にその名を由来する歴史あるお茶です。主に『やぶきた種』が栽培されており、抽出された水色は透き通った黄金色で、すっきりとした喉越しが多くの人々を魅了してきました。希少性の高いブランド茶として扱われる一番茶は、参道などで販売されており、訪れる参拝客にとって特別な記念の品となっています。

この地域では、毎年新茶の時期になると熊野本宮大社において新茶祭が執り行われ、生産の無事と品質向上を祈願する風習が守られてきました。二番茶以降が伝統的な茶粥用として地域内で親しまれる一方で、ペットボトル飲料化などの現代的な取り組みも並行して進められています。聖地の歴史と共に育まれてきた伝統のお茶は、地域の誇りとして次の世代へと着実に受け継がれていくことでしょう。



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