

千葉県は、かつて静岡県に次ぐ有数の茶産地として知られ、江戸から明治期にかけては佐倉藩の名を冠した佐倉茶が広く流通していました。当時は関東一円の需要を支える存在でしたが、時代の変化とともに茶園の多くが落花生など他作物へ転換され、現在の荒茶生産量は約30トンと全国的に見ても小規模な水準にとどまっています。
ただし、茶栽培そのものが途絶えたわけではなく、県内各地で地域に根差した生産が細く続けられています。生産量は少ないものの、関東近郊産地としての歴史的背景や、都市近郊農業の一端を担ってきた点は、千葉県のお茶を語るうえで欠かせない要素といえるでしょう。
現在、県内で最も主流となっている産地が八街市を中心とする八街茶です。八街茶は、かつて隆盛を誇った佐倉茶の製法や考え方を受け継ぎながら、地域の環境に合わせた茶づくりが行われています。平坦な台地が広がる土地柄を生かし、安定した品質の茶葉生産を目指してきた点が特徴とされています。
大規模産地ではありませんが、県内で継続的に製茶が行われている数少ない地域であり、千葉県産茶葉の中心的な役割を担っています。地元消費を意識した流通が多く、市場に出回る量は限られるものの、千葉の茶文化を今につなぐ重要な存在です。
佐倉市で生まれた佐倉茶は、明治4年に倉次亨らが中心となり、地域産業振興の一環として本格的な製茶が始められました。かつては県産茶葉の代名詞ともいえる存在でしたが、現在では生産者は数軒に限られています。それでも、緑色の水色と香りの高さ、ほどよい甘みを持つまろやかな味わいは、佐倉茶の特徴として受け継がれています。
現在の千葉県茶業は、こうした歴史ある産地の積み重ねの上に成り立っており、生産量の大小だけでは測れない価値を内包しています。地域に根付いた茶づくりの姿勢こそが、千葉県のお茶の本質といえるでしょう。



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