【日本茶コラム】玉露の淹れ方
玉露の淹れ方
玉露とは日本茶の一種。日本茶業中央会「緑茶の表示基準」では「一番茶の新芽が伸び出した頃からよしず棚などにコモ、藁、寒冷紗などの被覆資材で20日程度覆って、ほぼ完全に日光を遮った茶園(「覆下園」)から摘採した茶葉を煎茶と同様に製造したもの」と定義されています。
日本の煎茶として高級のものと考えられますが、品評会等では一般的な煎茶とは別のものとして扱われています。
飲用に際して、玉露の滋味と香気の特徴を活かすには、60℃程度の低温(茶葉によっては40℃前後まで温度を下げる場合もある)の湯で浸出することが重要です。
玉露はその甘みが特徴であり、高温の湯で淹れると苦味成分まで抽出してしまいます。
一般的に茶において旨味の要因となるテアニンは根で生成され、幹を経由して葉に蓄えられる。テアニンに日光があたると渋みの原因となるカテキンに変化します。すなわち、玉露の原料となる茶葉は、収穫の前(最低二週間程度)日光を遮る被覆を施されることにより、テアニンなどのアミノ酸が増加し、逆にカテキン類(いわゆるタンニン)が減少させる効果があります。
早速、玉露の淹れ方の基本をご紹介しましょう。
玉露の淹れ方
一度完全に沸騰させ、一呼吸おいたお湯を茶碗に八分目まで注ぎ、冷まします。
湯ざましという茶器を使用しても構いません。
適量の茶葉を急須に入れます。2人分ならティースプーン3杯くらいが目安です。
湯冷ましした茶碗のお湯を急須に注ぎ、茶葉が開いてお茶が抽出するのを2分ほど静かに待ちます。この時のお湯の温度は60度が目安です。
玉露は、低温の湯でじっくり時間をかけ、旨み成分を引き出します。
ちなみに、急須の穴の位置は注ぎ口に合わせましょう。こうするとお茶を注ぐ際に急須の中で良い対流が生まれるといわれています。
注ぎ始めと終わりで濃さにかなり差があるので、少量ずつ茶碗に注ぎ分け、味を均等にします。
A→B、B→A、A→Bと注ぎ分けます。これを廻し注ぎと言います。
最後の一滴までしっかり注ぎ切るようにします。
※急須にお湯が残っていると、お茶の成分が浸出し、二、三煎目の美味しさが損なわれます。二、三煎目はお湯を入れて時間をおかず、廻し注ぎをします。
⇒ 急須で淹れたお茶の効能
玉露の味わいを引き出す温度と時間
玉露をおいしく淹れる上で最大のポイントとなるのは「お湯の温度と抽出時間」です。
一般的な煎茶は70〜80℃程度で淹れることが多いですが、玉露は旨味成分であるテアニンを最大限に引き出すため、低めの温度でじっくりと浸出させるのが基本です。目安は60℃前後で、茶葉の質が高い場合には40℃台まで下げることもあります。温度が高すぎると苦味や渋味が出てしまうため注意が必要です。
また、蒸らし時間は約2分と長めに取り、茶葉がゆっくり開くのを待ちます。短すぎると旨味が十分に出ないため、長すぎても雑味につながります。低温で時間をかけることで、玉露特有の濃厚な甘みとまろやかな口当たりが引き出され、他のお茶では味わえない深い余韻を楽しめます。
玉露をさらに楽しむための工夫
基本の淹れ方を押さえた上で、さらにおいしく味わうための工夫もあります。
まず、使用する水にこだわることが大切です。硬水よりも軟水を選ぶことで、渋みが抑えられ、玉露の甘みが際立ちます。次に、湯冷ましや茶碗を活用して段階的に温度を下げると、急須に注ぐ際の温度調整がしやすくなります。また、淹れる器も重要です。小ぶりな湯呑みを使うと、玉露の濃厚な味わいを少量ずつ堪能でき、じっくりと味の変化を楽しめます。
さらに、二煎目や三煎目は少し温度を上げて淹れると、異なる風味を感じられるのも魅力です。初めは濃厚な旨味、次第に軽やかな渋みや爽やかさが顔を出し、同じ茶葉から複数の味わいを楽しめます。小さな工夫を取り入れることで、玉露の奥深さをより一層感じられるでしょう。
玉露を日常に取り入れる楽しみ方
玉露というと特別な高級茶のイメージが強いですが、日常の中でも少し工夫すれば気軽に楽しむことができます。
たとえば、休日の朝にゆっくり時間をかけて玉露を淹れると、一日の始まりが穏やかになります。来客時には、煎茶やほうじ茶とは異なる特別感を演出でき、おもてなしの一杯としても喜ばれるでしょう。また、玉露は料理との相性も良く、和菓子や上品な洋菓子と合わせると、お茶の旨味と甘味が引き立ちます。
中には冷水でじっくりと抽出する「水出し玉露」を楽しむ人も増えており、夏場の涼やかな飲み方として人気があります。氷で急冷すれば雑味が出にくく、驚くほどまろやかな旨味を味わうことができます。玉露を特別な場面だけでなく、日常のリラックスタイムに取り入れることで、豊かな時間を過ごせるでしょう。
新緑園で玉露は扱っておりませんが、まれものをオススメします。

全国茶審査技術競技大会にて九段を取得した茶匠 黒木が、様々な茶原料の中から「まれ」にしか手に入らない特に品質が優れた「一期一会」の茶葉を厳選し仕上げた一品「まれもの」
まれもの 80g
旨味とコクが濃厚な品種「おくみどり」を中心に、優雅な香りを持つ希少品種「おくゆたか」、さらに馴染み深い品種「やぶきた」をブレンド。 品種を分け、ブレンドを想像しながら、緊張感ある火入れを行います。 失敗や妥協を許さず、丁寧に仕上げていきます。
宮崎県のトップクラスを走る高い技術と熱い想いで向き合っている生産者のお茶。 抽出後の茶葉も、浅蒸しの輝き磨かれた一葉一葉を感じられます。
圧倒的な香気と日本茶の本質を味わい下さい。
まれものの淹れ方
いつもより少し多めの茶葉量に湯冷ましされたお湯(60度〜70度)を注ぎ、90秒程急須を揺らさずお待ち下さい。 注ぎもゆっくり(急須をおじぎさせるように)行い最後の濃縮された一滴まで注ぎ出して下さい。 本格的な浅蒸しの日本茶です。 黄金色の水色から香る、贅沢な茶香と濃厚で深い茶葉のコクが味わえます。 その日の気分や時間に寄り添った、癒しの時間におすすめです。