玉露の淹れ方|低温で引き出す甘みと旨みのコツ
玉露は、日本茶の中でも特に手間をかけて育てられた高級茶です。その豊かな甘みと旨みを最大限に引き出すには、お湯の温度と淹れ方にひと工夫が必要です。このページでは、玉露の基本的な淹れ方から、より深く味わうためのコツまでをわかりやすくご紹介します。
玉露とはどんなお茶?
玉露は日本茶の一種です。日本茶業中央会「緑茶の表示基準」では、「一番茶の新芽が伸び出した頃からよしず棚などにコモ・藁・寒冷紗などの被覆資材で20日程度覆い、ほぼ完全に日光を遮った茶園(覆下園)から摘採した茶葉を、煎茶と同様に製造したもの」と定義されています。
日本の煎茶の中でも高級なものとして知られており、品評会などでは一般的な煎茶とは別のカテゴリーとして扱われています。
玉露の甘みの理由|テアニンとカテキンの関係
お茶の旨みの要因となるテアニンは、根で生成されて幹を経由し、葉に蓄えられます。このテアニンに日光が当たると、渋みの原因となるカテキンへと変化します。
玉露の原料となる茶葉は、収穫前に最低2週間程度、日光を遮る被覆を施されます。これによってテアニンなどのアミノ酸が増加し、カテキン類(いわゆるタンニン)が減少します。この製法こそが、玉露特有の濃厚な甘みとまろやかな旨みを生み出しているのです。
玉露の基本的な淹れ方
ステップ1:お湯を冷ます
一度完全に沸騰させたお湯を茶碗に八分目まで注ぎ、冷まします。湯冷ましという茶器を使用しても構いません。
ステップ2:茶葉を急須に入れ、お湯を注ぐ
適量の茶葉を急須に入れます。2人分ならティースプーン3杯程度が目安です。湯冷ましした茶碗のお湯を急須に注ぎ、茶葉が開いてお茶が抽出されるのを2分ほど静かに待ちます。このときのお湯の温度は60℃が目安です。
ステップ3:じっくり抽出する
玉露は低温のお湯でじっくり時間をかけ、旨み成分を引き出します。急須の穴の位置は注ぎ口に合わせましょう。こうするとお茶を注ぐ際に急須の中で良い対流が生まれるといわれています。
ステップ4:廻し注ぎで均等に
注ぎ始めと終わりで濃さにかなり差があるため、少量ずつ茶碗に注ぎ分け、味を均等にします。A→B、B→A、A→Bと注ぎ分けます。これを「廻し注ぎ」といいます。
ステップ5:最後の一滴まで注ぎ切る
最後の一滴までしっかり注ぎ切るようにしましょう。急須にお湯が残っていると、お茶の成分が浸出し続け、二煎目・三煎目のおいしさが損なわれます。
二煎目・三煎目はお湯を入れたら時間をおかず、廻し注ぎをしてください。
玉露の味わいを引き出す温度と時間
玉露をおいしく淹れる上で最大のポイントとなるのは、「お湯の温度と抽出時間」です。
一般的な煎茶は70〜80℃程度で淹れることが多いですが、玉露は旨み成分であるテアニンを最大限に引き出すため、低めの温度でじっくりと浸出させるのが基本です。目安は60℃前後で、茶葉の質が高い場合には40℃台まで下げることもあります。温度が高すぎると苦みや渋みが出やすくなるため、注意が必要です。
蒸らし時間は約2分と長めに取り、茶葉がゆっくり開くのを待ちます。短すぎると旨みが十分に出ず、長すぎると雑味につながることがあります。低温でじっくり時間をかけることで、玉露特有の濃厚な甘みとまろやかな口当たりが引き出されます。
玉露をさらに楽しむための工夫
基本の淹れ方を押さえた上で、さらにおいしく味わうための工夫もあります。
- 水にこだわる:硬水よりも軟水を選ぶことで、渋みが抑えられ、玉露の甘みが際立ちます。
- 湯冷ましを活用する:湯冷ましや茶碗を使って段階的に温度を下げると、急須に注ぐ際の温度調整がしやすくなります。
- 小ぶりな湯呑みを使う:玉露の濃厚な味わいを少量ずつ堪能でき、じっくりと味の変化を楽しめます。
- 二煎目・三煎目を楽しむ:少し温度を上げて淹れると、異なる風味を感じられます。初めは濃厚な旨み、次第に軽やかな渋みや爽やかさが顔を出し、同じ茶葉から複数の味わいを楽しめます。
- 水出し玉露を試す:冷水でじっくりと抽出する「水出し玉露」は、夏場の涼やかな飲み方として人気があります。氷で急冷すれば雑味が出にくく、まろやかな旨みを味わえます。
玉露を日常に取り入れる楽しみ方
玉露というと特別な高級茶のイメージが強いですが、日常の中でも少し工夫すれば気軽に楽しむことができます。
たとえば、休日の朝にゆっくり時間をかけて玉露を淹れると、一日の始まりが穏やかになります。来客時には、煎茶やほうじ茶とは異なる特別感を演出でき、おもてなしの一杯としても喜ばれるでしょう。また、玉露は和菓子や上品な洋菓子との相性も良く、お茶の旨みと甘みが引き立ちます。
玉露を特別な場面だけでなく、日常のリラックスタイムに取り入れることで、豊かなひとときを過ごせるでしょう。
新緑園おすすめ|まれもの
新緑園では玉露の取り扱いはございませんが、玉露に近い丁寧な製法で仕上げた「まれもの」をおすすめしています。
全国茶審査技術競技大会にて九段を取得した茶匠・黒木が、様々な茶原料の中から「まれ」にしか手に入らない、特に品質が優れた「一期一会」の茶葉を厳選して仕上げた一品です。
旨みとコクが濃厚な品種「おくみどり」を中心に、優雅な香りを持つ希少品種「おくゆたか」、さらに馴染み深い品種「やぶきた」をブレンド。品種を分け、ブレンドを想像しながら緊張感ある火入れを行い、丁寧に仕上げています。
宮崎県のトップクラスを走る高い技術と熱い想いで向き合っている生産者のお茶。抽出後の茶葉も、浅蒸しの輝き磨かれた一葉一葉を感じられます。圧倒的な香気と日本茶の本質をぜひご堪能ください。
まれものの淹れ方
いつもより少し多めの茶葉量に、湯冷ましされたお湯(60〜70℃)を注ぎ、90秒ほど急須を揺らさずお待ちください。注ぎもゆっくり(急須をおじぎさせるように)行い、最後の濃縮された一滴まで注ぎ出してください。
黄金色の水色から香る、贅沢な茶香と濃厚で深い茶葉のコクが味わえます。その日の気分や時間に寄り添った、癒しの時間におすすめです。
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記事監修
日本茶専門店 新緑園 代表取締役 茶匠 黒木信吾 (茶審査技術 九段 / 全国茶品評会 農林水産大臣賞 4度受賞)
宮崎県新富町にて昭和30年創業の新緑園代表。全国茶審査技術競技大会で全国でも数少ない「九段」を取得。
- 全国茶品評会 農林水産大臣賞 4度受賞
- 国内外コンテストで多数受賞
- 日本茶普及活動にも従事
玉露は覆下栽培によってテアニンを豊富に含む高級日本茶です。おいしく淹れるには60℃前後の低温で約2分じっくり抽出するのが基本。廻し注ぎで味を均等にし、最後の一滴まで注ぎ切ることが二煎目・三煎目をおいしく楽しむコツです。新緑園では玉露に近い丁寧な製法で仕上げた「まれもの」もご用意しています。
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