
青森県では、統計上の生産量こそほとんど確認されていませんが、長い歴史の中でお茶の栽培は確かに存在してきました。厳しい寒冷地でありながら、江戸時代には自家用として各家庭で茶の木が育てられていたといわれています。
雪深い冬を越え、春に芽吹く茶葉はたくましく、まさに北国の暮らしとともに歩んできた植物のひとつです。経済的な栽培地としては新潟県村上市が北限とされていますが、青森のお茶文化は“暮らしの中の一服”として受け継がれてきました。その名残は、今も黒石市などで静かに息づいています。
「黒石茶(くろいしちゃ)」は、青森県黒石市でわずかに栽培されている貴重なお茶です。もとは黄檗宗法眼寺に植えられていた茶の木に由来し、その系統は京都・宇治の万福寺から伝わったものとされています。
現在では生産者は一戸のみで、一般には流通していませんが、地元では貴重な文化遺産として守られています。数世代にわたって受け継がれた茶樹は、冷涼な気候のもとでも力強く育ち、寒冷地に適応した独特の風味が特徴です。青森の気候に鍛えられたその一葉には、北の地でお茶を育て続けた人々の誇りが宿っています。
近年、黒石茶の存在が再び注目され始めています。気候変動の影響で青森でも茶の栽培が可能な期間がわずかに広がり、地域資源として再評価する動きも見られているようです。
お茶づくりを通じて地域の歴史を伝え、観光や教育の分野で活用する試みも少しずつ広がっています。青森のお茶は量では語れませんが、北限の地で守り抜かれてきた「人と自然の調和」という価値を象徴しています。雪解けとともに芽吹く茶葉の一枚一枚に、土地の記憶と静かな情熱が込められているのです。




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